100人ダイアローグ in 西陣

100人ダイアローグin西陣

「NISHIJIN~新しい京都を創るまち」

 

日時:2019年10月25日(金)16:00~19:30

会場:京都信用金庫 西陣支店 2階大会議室

会費:一般:1,000円、学生:500円

 

<開会 進行役 大島祥子>

本日は、西陣R倶楽部と西陣サロンの共催で開催するダイアローグで、複数の立場の異なる人と一緒に対話をしていこうとするものです。この対話を通じて、私たちが働いたり暮らしたりしている西陣を活力ある「オモロイまち」にしていこうとするものです。そして、この場を通じてお互いに顔見知りになって、自らが主体となってこの町をどのように面白くしていこうかということを考えていくきっかけになればと考えています。今日は、約2時間の会ですがよろしくお願いします。

<主催者挨拶 京都信用金庫 理事長 榊田隆之>

皆さん、今日は。ご紹介いただきました京都信用金庫の理事長をしております榊田と申します。本日は、大勢の皆様にお集まりいただきありがとうございます。今、大島さんの方からお話がありましたように、今日、こうしてお集まりいただいた皆さん方に共通する点が一つあります。それは、西陣にゆかりのある方、そして、西陣の今後のこと、未来のことを考える思いのある方がお集まりになっているということです。そして、この地域のコミュニティの在り方を特定の人だけで考えるのではなくて、色々な方々、様々なバックグラウンドの方々が寄ってたかって考えていくこと、そして、ああでもないこうでもないと言いながら、方向性を皆で考えていく時間や場を持つことがとても大事なことだと思っています。

私どもはコミュニティバンクとして、特に西陣支店は古くからご愛顧いただいており、今年の4月に建て替えをさせていただきました。それは、今日のようなタウンミーティングの場を一つでも多く開催するためです。特に、皆さんがお集まりになっている2階のこの場所は、こういうふうな形で使っていただく為に作ったものです。そういう意味では、今日はこうして沢山の皆様にお集まりいただいたことは誠に光栄なことでもあり、そして、皆様方と共に西陣のあるべき姿を考えていくことは素晴らしいことだと思っています。

心配されたお天気も、水谷支店長という変わり者の支店長が居まして、スポーツマンのような人ですけれども、彼は本当に強運で、この会の開催10分前に晴れ渡りました。しばらくこうして皆さん方と語り合いたいと思いますけれども、今日は、その後に我々の自慢のテラスに移っていただき、皆さんと一緒にバーベキューをします。この支店が出来てから今日初めて、本格的なバーベキューを行います。皆さん方と一緒に美味しいお料理をいただきながら、ワイワイガヤガヤと楽しい一時を持ちたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

 

<主催者挨拶 西陣R倶楽部会長、京都府立大学副学長 宗田好史>

宗田でございます。京都府立大学で教えている大学の教員です。西陣との繋がりということで申し上げると、1991年に渡文さんのお店のある大黒町を中心にして「西陣活性化モデルプラン」を作る委員会に参加し、その後、石畳とか町並みの整備や電線の地中化などが行われました。もう30年経過します。その頃は、ちょうどバブルが崩壊した時期で、すごく華やかで賑やかだった西陣が大きな転換期を迎える時期でした。西陣信用金庫を含めて金融システムが大きく揺らいだ時期でもありました。

あれから30年経過して西陣の町の様子はガラッと変わっています。皆さんもお気付きだと思いますが、インバウンドで外国の方が街中に増えていると同時に、西陣に住みついて活動する外国の方が増えています。この方たちが新しい商売をしようとしていて、そうした外からくる人たちを西陣が上手に暖かく受け止めようとするのが、フラットエージェンシーさんが長年やってこられたことです。特に、新しい若い人たちを西陣で上手に育てて行こうという目的で活動しているのが西陣R倶楽部です。

実際、西陣R倶楽部が1年半、活動してきて、本当に新しい試みが起こっていて、海外から帰って来た方、中国とお取引をされている方がいらっしゃいます。それも、昔の商社のような活動ではなく、銀瓶とか子供服、モザイクのような今まで聞いたことが無かったような、でも、どの一つをとっても西陣らしいモノづくり、手づくり、それからアート作品を手掛けています。そして、職人さんが路地裏の小さな家に落ち着いてすごく大きな夢を見る。その夢の大きさが若さであり、西陣であり、こういう中小企業が育ってくる、皆がちょっとずつ頑張れば成功を手にすることができる町なのです。

今日は、新しい京都を創るまちというテーマで皆さんで話していくわけですが、これからの10年、20年は、随分と変わっていくと思います。これまでの30年間を一種の準備期間として、この間、町並みも整ってきた、お店も元気になった、従来の和装に代わる西陣織も元気になった。そうした準備期間が、これからどう花開いていくかということを皆さんに語り合っていただき、その中で生まれる新しい事業モデルは榊田さんのところがしっかりと支え、小さいけれども世界に輝くような事業として育てて行ってくださるという場です。夢を現実にする。良いチャンスを掴んで帰っていただきたいと思います。最初の一歩となることを期待しております。ありがとうございました。

 

<ガイダンス 進行役 仲田 匡志>

今日のこれからの流れをご説明します。最初にブレイキングタイムということで皆さんが西陣に対して日頃感じておられることをポストイットに書きだしていただき、共有する時間を取りたいと思います。

その後、ダイアローグに移行します。3つのテーマに分かれて皆さんで色々なご意見を自由に活発に出していただきます。皆さんの顔ぶれを拝見していますと、非常に盛り上がるのではないかと思っています。色々なご意見が出た後で、お楽しみの大バーベキュー大会となっています。

まず、皆さんのお膝の上に載っていますものがエンタ君といってそのまま円卓となっています。段ボール製で真ん中に切れ目が入っていますので、皆さんで協力して支えあっていただきたいと思います。こうすることで皆さんの距離も縮まり、意見も活発に出るという仕掛けになっていますので皆さんで楽しくお使いください。

最初に、お手元にあるポストイットをお手に取ってください。前の壁面に貼っています模造紙には3つの言葉が書いてあります。1つ目が、「西陣の良いところ」、2つ目が「西陣に足りないもの」、3つ目が「西陣のイメージ」です。皆さんがいつも感じていることを書きだしてください。一つだけルールがありまして、ポストイット1枚につき一つのことをお書きください。いまから5分ほどシンキングタイムを設けますので、少し頭の整理を行ってください。質より量ですので、たくさん書きだしてください。では、よろしくお願いします。

 

それでは、順に前の模造紙にポストイットを貼り付けていってください。最初にテーブルAからDの方、次にEからIのテーブルの方、次にJからNのテーブルの方、次にOからQのテーブルの方、最後にR,Sのテーブルの方の順でお願いします。

 

 

<振り返り 進行役 大島祥子、仲田匡志>

 

皆さん、前をご覧ください。こんな短い時間で沢山のご意見を頂き、用意した模造紙からはみ出ています。いまから、進行の二人で皆さんのご意見を拾い上げていきます。

では、早速ですが、『西陣の良いところ』を見て行きます。「手作りパン屋が多くてパン好きにはありがたい」というご意見をいただいています。なるほど、西陣はそうだったのですね。「歴史が何重にもある」、「地蔵盆がある」、「町家が多い」、「のんびりしているところ」、「ほっこり」という言葉も出てきています。「路地が子育てに適している」これも深く掘っていくとより魅力が増してきそうなテーマです。そして「商店街が多い」、「京町家が残っている」、「静かなまち」みなさんの中で、共通して、落ち着く、ほっこりするようなものがあれば、実はパン屋さんも多いという発見もありました。そして、「よそ者オッケー」、「寛容」という言葉もあります。これは何か新しいことを始めるときに嬉しい西陣の良さだなと思います。そして「美味しいお店が多い」、これはどなたかに教えてほしいですね。「ユニークな人と場所が多い」、そして「多様性」、「京都の中心」、「伝統」、そして「アーティストが多い」、確かに、今日会場をパッと見渡すとどちらかというとスーツよりも個性的なファッションの方が多いですね。「プレーヤーが多い」、「人とのつながりが深い」、こうして皆さんの活発な意見交換の様子を拝見すると実感します。そして「お年寄りが元気」というご意見をいただいています。「ものづくりに理解がある」、「京都府外から来た人が積極的に活動できる」、先ほど宗田先生のお話にもありましたが海外から来られた方もそうでない方も活躍できる地域です。先ほどの「よそ者オッケー」というのもそういった繋がりが出てきそうですね。「伝統産業の会社が多い」、「寺社仏閣が多い」、「それほど混雑していない」。人、町、建物、いろいろのモノの良さをダイジェストでご紹介しました。

『西陣のイメージ』ということで寄せていただいた項目をご紹介します。長く住んでいらっしゃる方は、自分たちが住んでいる地域を客観的に眺めた姿だと思いますし、最近来られた方については、自分が来るまでに抱いていたイメージを取り上げていただいているのかなと思います。やはり目立っているのは産業に関することですね。「織物産業」であったり、「職住一体」、「伝統産業地帯」、「西陣織」に関する項目をたくさん寄せていただいています。後、「密集」、やはり皆さんがキューと肩を寄せ合って暮らしているというイメージもあるのかなと思います。先ほどの良さとは逆のことになりますが「よそ者が入りにくそう」とか「外の人がちょっぴり入りにくいイメージ」、これは、入りにくいイメージを持ったままなのか、或いは、こういうイメージを持ってたんだけども中に入って覆されたのでしょうか。あるいは、多くの人がこういうイメージを持っているなということで書かれたイメージかも知れません。あと、ポツポツとあるのが、「いけず」です(笑い)。中には「いけず?」とクエスチョンマークをつけてちょっと弱気になっている方もいらっしゃいます。これも、あくまでもイメージであって、イケズ論については色々な論があります。イケズは、いじわるなのか、知的ゲームなのか、愛情なのか、というところもあると思いますので、そういうところも是非、皆さんで議論していただければと思います。意外だなと思ったのが「男社会である」、「保守的である」という意見です。あとは、「活性化しつつある」、他には「電車が走る」も赤文字で頂いています。これは、かつてチンチン電車が走っていたということもあろうかと思います。身近な交通機関が自分たちの生活圏域を走っていたというイメージを強くお持ちなのだなと思いました。あとは「応仁の乱」とか「お菓子屋さんが多い」、「パン屋さんが多い」という暮らしに密着したイメージも頂戴しました。以上、ざっとご紹介いたしました。

最後に、『西陣に足りないところ』を見ていきます。「イケズ」をいただいています。イケズが足りていないことも面白いですね。あと、目立つのは「PR」ですね。そう意味では、このイメージについて、これが誤解なのか、あるいは良いところなのでもう少し伝えていくべきなのか、両方のPRがあると思うのですが、もっと西陣を知ってもらうという機会が足りないと思っておられるのですね。そういう意味では「よそ者」も足りないと出ています。まちづくりには、よそ者、若者、馬鹿者、最近はさらに優れ者が必要だと言われますが、そういう意味では、もっと他者の力を借りながら西陣を面白くしようというところなのでしょうか。「アクセスしづらい」という項目も見られます。地下鉄駅の半径500メートル圏域を外れていますね。バスは凄く便利だと思いますが、どうなのでしょう。あと「協調性が足りない」と指摘される方もおられます。今日は、協調性を発揮する前の顔見知りになっていただく場ですので、足りないものを補っていただければと思います。「人と人との繋がり」というご指摘もあります。繋がりを感じられている方がおられる一方で、もうちょっと欲しいんだよという方もいらっしゃるんですね。「新しい取り組みへの寛容性」、これは、実際に何か取り組まれた方の実感ベースのご指摘なのでしょうか。

足りないものも、良いところも、イメージもいろんなものが皆さんから出てくると、本当に西陣の持っている顔というか魅力が沢山あるんだなと感じさせられます。そして、足りないものが伸びしろだと思うと、まだまだ伸びしろのあるエリアなんだなと思います。私たちの振り返りはもうお腹が一杯で、皆さんお話したくてうずうずしているのではないかと思います。この模造紙は引き続き前に貼っておきますので、皆さん、お写真を撮っていただいたり、トークの間に見ていただければと思います。大変、雑駁な振り返りで失礼しました。

ブレイキングタイムのまとめ

〇 西陣のイメージ

人柄、地域性に関する意見が53と最も多く、敷居が高いというイメージを持つ一方で、地域のつながりが強いというイメージを持つ。また、昭和レトロで高齢化しているという意見の一方でクリエイティブで華やかで活力があるという意見もある。

次に産業に関する意見が35と続き、西陣織、繊維産業、高い技術力を持つものづくりの町、職人の町というイメージが強い。

さらには、京町家、町並みに関する意見が30と続き、京町家や寺社仏閣などの歴史的建築物が多く、路地も含めて京都らしい魅力的な町並みというイメージを持つ。

次に、歴史・伝統・文化が13、暮らしの文化が6、施設・店舗等が4、立地・交通環境が4と続く

〇 西陣の良いところ

西陣のイメージと同様に人柄・地域性に関する意見が41と最も多く、寛容で人のつながりが深く、地域コミュニティが顕在であるという評価があり、さらに静かでのんびりとしていると評価している。

次に、イメージとは異なり、歴史・伝統・文化に関する意見が30、京町家・町並みに関する意見が29と続く。歴史と文化、町並みが高く評価されている。

それに対して産業を評価する項目は15と低く、その中でも西陣織への評価が高いが、最高級のものづくりや優れたデザインなど新しい可能性への評価も見られる。

施設・店舗等の評価も14件と高く商店街や個店、尖った名店などが評価された。暮らしの文化の評価も13件と高く、地蔵盆などの行催事、職住共存のライフスタイルなどが評価された。

それに対して、立地・交通環境への評価は6軒と低くなっている。

〇  西陣に足りないもの

良いところで14件と評価された施設・店舗等はマイナス評価も27件と最も高く、若者などが集える場所、楽しく遊べる場所、グルメ、安価な住居など若い人たちが求めている施設・店舗等が足りないとしている。

良いところでは評価の低かった立地・交通環境はマイナス評価も27件と最も高く、バスしか無い交通環境が低い評価につながっている。

良いところで最も評価の高かった人柄・地域性は23件とマイナス面も指摘されている。閉鎖的で寛容ではなく、新しいモノへのチャレンジ精神に乏しいという意見である。

人材の不足も12件と指摘され、情報と情報発信力の弱さも9件と指摘されている。この2件は、イメージや良いところでは全く意見の無かった意見である。

産業5件、歴史・伝統・文化2件、京町家・町並み1件とマイナス評価は少ない。

〇 まとめ

歴史・伝統・文化さらに京町家・町並みについては、安定して高い評価を受け、イメージも定着している。

一方、人柄・地域性は最も評価も高く西陣のイメージを決定している要素でありながら、一方で否定的な評価もある。これまで出会った人や地域との関係性によって評価が異なると思われるが、一人一人の暮らしの文化が確立され、地域コミュニティがしっかりとしていることが、逆に閉鎖的な評価につながっていると思われる。人材が不足しているという評価と合わせて理解する必要がある。

また、施設・店舗等はとりわけ若者向けのモノが不足しているという評価が高い一方で、商店街、個店、尖った名店など少しディープな店舗・施設等の存在は評価されている。歴史・伝統・文化を引き継ぎながら新しい尖った個店やスモールスケールの施設の充実が課題となる。

それに対して、立地・交通環境は一貫して評価は低く、どのように克服するかは知恵の出しどころである。

さらに、人材や情報と情報発信については、足りないものとしてのみ評価されており、西陣らしい若者向けの店舗・施設等の充実と合わせて克服すべき課題となっている。

 

<ダイアローグ ガイダンス 進行役 大島祥子>

今回のメインの取組のダイアローグに移ります。複数の人で意見交換を行っていただきます。それぞれのテーブル毎に意見交換を行っていただきますが、意見交換のテーマを3つ用意しています。一つ目が、『私の考える西陣の文化と観光』です。二つ目が、『私の考える西陣の産業と新産業』です。三つ目が、『私の考える西陣の暮らしと地域』です。皆さんのエンタくんの上に丸めた紙が3つ用意されています。それぞれに一つずつテーマを記入しています。それを各テーブルで一つ選んでいただきます。それが、そのテーブルで検討いただくテーマとなります。選んでみて、このテーマはどうしても嫌だと各テーブルで合意がされましたら、1回だけチェンジできます。なるべく与えられたお題について皆さんで考えていただければと思います。

まず、テーブル毎に進行役、ファシリテーターをお一人決めていただきます。そのファシリテーターの進行の元にテーブル毎に意見交換するテーマを決めていただきたいと思います。そして、午後5時半を目途に意見交換を行っていただきますが、それぞれのテーブル毎にすべての方が2回発言いただくように進行していただきます。そして、テーブル毎にまとめを行っていただきます。課題を整理したり、こういう事をやってはどうかという提案をしていただくなど、まとめ方もそれぞれのテーブル毎に決めていただきます。そして、午後5時半ごろから、まとめを発表していただきます。大体、一つのテーマ毎に一テーブル程度かなと思っています。是非、皆さんに披露したいというところまで皆さんで検討いただきたいと思います。それでは、それぞれのテーブルでスタートしてください。

 

 

 

 

 

<ダイアローグ まとめ>

皆さん、そろそろ、それぞれのテーブルで検討いただいた内容を共有させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

最初に、皆さんがどのようなテーマについて検討されたか把握したいと思います。まず、西陣の文化と観光について検討されたテーブルの方は挙手をしてください。結構多いですね、半分近くあります。次に、西陣の産業と新産業について検討されたテーブルは挙手をしてください。これも結構ありますね。次に西陣の暮らしと地域について検討されたテーブルは挙手をしてください。これは2チームだけですね。発表の確率が高くなりました。

本来は全てのテーブルから発表を頂きたいのですが、時間の都合で、各テーマ毎に一つのテーブルから発表を頂きます。是非、ウチのテーブルのまとめを発表したいというテーブルに立候補をしていただきます。最初に、私の考える西陣の文化と観光について是非、発表させて欲しいというテーブルは・・・・。言い終わる前に手が上がりました。それでは、瞬間的に立候補されたテーブルから発表を頂きます。

 

<私の考える西陣の文化と産業>

発表時間はどのくらいいただけるのですか。3分間!それでは全く無理なんです。

西陣が余り知られていないということですが、僕たちの話し合いの中で出てきたのは、まず西陣の方が西陣のことをちゃんと知るべきだという事です。西陣のエリアがすごくフワッとしていて、西陣はどこなのかということが京都に住んでいる人方でも分かってない方がいらっしゃるのではないかと思います。まず、そこをクリアにすることが一番大事だと思います。そしてマップを作って、西陣にどんな魅力があるのかということを明らかにすることが必要だと思います。先ほど、テーブルの上に置いてあったマップを見て驚いたのですが、凄く魅力的なエリアだなと思いました。どういう魅力を西陣が持っているかと皆さんに伝えることが大事だと思いました。そこで、僕たちは3つのキーワードに分けて検討しました。

まず、「まち」というキーワードでは、こんなに「商店街」が残っているエリアは全国的にも珍しくて、色々な商店が1箇所に集められている商店街は来る人たちから色々な情報を得ることができるという可能性を持っています。購買行為は何かを選ぶ行為なので、その人の生活で何をしたいのか何が欲しいのか全て出るので、その情報をちゃんと生かしていくことが大事なのです。そして、お店の規模も色々なプロジェクトを試していくのに良いサイズだと思います。例えば、エコを生活の中で考えて行こうとするときに、商店街として何かしらエコの取組をして、商店街に来た人がそれに参加するか参加しないかという情報が得られます。また、参加した人から、商店街の外に情報が伝わっていきます。

次に「銭湯」です。京都は、全国的に最も銭湯が残っているまちで、その中でも西陣エリアは銭湯が良く残っています。その銭湯を観光資源として活かせるのではないかと思います。

まだまだ、色々なまちの魅力がありますが、観光の面からは「京町家」をもっと活かすことが考えられます。今は、簡易宿所とか民泊として取締りの対象となっていますが、本当は大きなホテルを取り締まるべきだと思います。京町家に宿泊した観光客は、京町家の周りの地元の生活に触れることができます。そういう観光客をどんどんと増やしていかなくてはならないと思います。今の飽和状態の京都観光は、ほとんど飽きられています。主な観光地には既に皆さん行っておられて、2回目、3回目に京都に来られた人に何を見せるかというという観光になってくると思います。ローカルをどのように見せていくかということになると思うので、そういう意味では、京町家とか銭湯を観光に使っていくことが大きな力になると思います。

それから、西陣は交通の便が悪いので、なかなか来てもらえないということがあると思いますが、そこにバス等の公共交通を通すという大きな話ではなく、電動のレンタルサイクルとか、電動の新しいモビリティを西陣が率先してやることができれば、集客の大きな要素となると思います。自転車で行ける範囲は結構限られていますが、電動自転車になるとその範囲が格段に広がります。

「文化」の面では、隠された文化が沢山あるので、そうした文化遺産を自分たちでリサーチしてそれを伝えていくことが考えられます。今、すごく流行っているアフリカの布は、かつて京都の染織工房でも作られていたという歴史があります。そのような文化の面での海外との関係性をリサーチして、そこにビジネスチャンスを作れるのではないかと考えています。以上です。

<進行役 大島祥子 コメント>

文化と観光というお題でしたが、お話は大変に総合的で産業と新産業にもお話が及んでいました。お聞きしていて、コンパクトでありながら都市機能としてはエリア内で完結しているというという西陣の特徴が、様々な可能性を生むのかなと思いました。このテーマでどうしても追加コメントがあるテーブルはありますか。

 

<私の考える西陣の文化と観光 追加コメント>

西陣というのはエリアもそこに描くイメージも大変に広いので、何かしらのフラッグシップを立てて、パッケージングツアーをするような観光は似合わないのではないだろうかと思います。ですので大風呂敷を広げて、どんな方が来られても楽しめるような、何かに絞らないネットワーク型観光を進めていくと良いと思います。既に西陣にある建物や文化や人材を利用したツアーを組むことが望ましいと思います。

このため、今、お集まりの皆様方のお力でイメージ動画を作ることを提案します。皆様それぞれが思われる西陣を考え直し洗い出していく作業を楽しむことが西陣の発展につながるのではないでしょうか。

 

<私の考える西陣の産業と新産業>

このテーブルでは西陣のポテンシャルてすごいよねという話で盛り上がりました。その中でも特に盛り上がったのは、西陣というのはものづくりがベースにあるということが強みだということです。織物もそうですし、金継ぎなど、日本の誇るべき技術がずっと京都に残っているということが凄いという話になりました。そうしたものづくりの職人であったり、起業家マインドを持つ企業人やアーティストという人達が西陣界隈に大変に多く集まっておられるということがすごく良いという意見がありました。ここまでが西陣の産業の現状ですが、そこから先の新産業を考えていくためには何が必要かを検討しました。それは新しい何かを掛け合わせることが大事だということです。ここにおられる宮階織物さんも柄が動く着物を作っておられるということで、先ほど動画を見せていただきました。それは、宮階織物さんが京都産業技術研究所とタイアップして制作されたそうです。そうした形で元々あるしっかりとした技術に新しい何かを掛け合わせることによって、新産業がもっと生み出せるのではないでしょうか。そのためにもベースとなる技術がしっかりしていなければなりませんが、そのベースがめちゃくちゃしっかりしているのが西陣だという話になりました。これから先、新産業を生み出していくためには、もっと外部の新しい価値や技術と掛け合わせていくことが必要です。そうした外部の人たちが西陣にもっと足を運んでいただけるようになれば、そういった人たちと西陣の人たちとが交流できる場所や機会がたくさん生まれて行けば、新産業が生まれるのではないか。そこから世界に誇る西陣へというところを目指していけるのではないかという話になりました。

 

<私の考える西陣の産業と新産業 追加コメント>

このテーブルでは新産業には観光を取り入れてはどうかという話になりました。西陣には素晴らしい歴史もありますし、神社仏閣も多く、茶道の三千家のお家元もおられ、海外の方にも魅力のある界隈となっています。そこで、このテーブルでは「西陣が黄金の国にみえるように」という標語を掲げました。西陣に対して東陣がありますが、西陣がメジャーであるということは、これまで、先達が一生懸命取り組んでこられた証だと思います。ですから新しい産業を作るというよりも、西陣という長年培ってきたブランドを如何に生かしていくかということがベースになると思います。地図を見ますと、西陣のエリアではないのですが、世界遺産の二条城がありますから京都駅から堀川通を北上して二条城を経て西陣に到達します。その後、三千家でお茶を飲んでいただいくなど、観光産業を振興するために町並みを整えて、西陣が黄金の国に見えるようにして観光客やビジネスを呼び込んで来ることが必要だという話になりました。そして、たとえ週4日しか営業していないお店でも、この店に来るんだったらちゃんとインターネットを調べてから来いという気概で、オリジナリティのある店を構えることが、西陣を黄金の国にしていく道であるという話が出ました。観光客に来てもらうために何かをするのではなく、西陣自らが黄金の国として輝くことで色々な人に来ていただくというお話になりました。

少し補足です。私は生まれも育ちも西陣ですが、新しい人が入ってきてくれることはとっても嬉しいことです。有り様をどう見せるかということも大事ですが、本当は、その有り様を支えている人たちがとっても大事なのです。なんで銭湯が残っているのか、なんで商店街が残っているのかというと、そこに生きている人がいるからなんですね。だから、皆、織物関係のモノを着て欲しいし使って欲しいと思います。使って見たからこそ良いものが分かるのであって、そこのところを考えて欲しいと思います。僕は、地元の乾隆小学校、喜樂中学校の出身です。西陣の人間に言わせると、西陣のものを活かしてもらわないとと思います。今は、かろうじて残っていますが、後、数年すると多くの職人が居なくなってしまいます。ですから、今、織屋さんがどんなことをやっておられて、そのやっておられることを外部から見たらどのように変えたら世界に行ける。そういう事を教えて欲しいなと思います。僕らは中に居るから分からない。外から見ている人に教えて欲しいと思います。

 

<私の考える西陣の地域と暮らし>

冒頭のブレイキングタイムで出されたご意見では、寛容と閉鎖的という相反するものが並んでいました。それは何故だろうと思った時に、最初は、物件を借りて外部から来られると、地元の人は「あの人は何者やろう」とある種、監視しているような視線を感じさせるところがあります。ところが、実際に住んでみると、新しく外から来る人に対して興味を持って見守ってくださっていたという事例が実際にありました。そこで、私たちが提案させていただきたいのは、「路地裏オープンデー」みたいな形で、これまでずっと西陣に住んでいる人と、これから西陣に住む方をつなぐようなイベントができれば、人と人が思いやりで紡ぐ暖かいコミュニッティができて、より暖かな地域になっていくのではないかと思って話し合いました。是非、よろしくお願いします。

 

<進行役総括 進行役 仲田匡志>

私は大阪や兵庫、滋賀でもこのようなイベントをやらさせていただいた事があるのですが、今日は、初めてお会いされた方が多い中でも、お互いの意見を引き出しながら、尊重しながらご自分の意見を出していただいていたなと感心して拝聴させていただきました。否定があるわけでもなく、かといって言いっぱなしになっているわけでもなく、重ねあわせてお話を進めておられました。それこそ新産業が新しい結合で生まれるのではないかというお話がありましたが、初めてあった方々の間で、皆さんのお一人お一人の意見が重なり合っている場が生まれている。これが西陣のすごいところだなと拝見していました。

 

<西陣のPRについて ラジオミックス京都 放送局長 木村 博美>

ラジオミックス京都は、皆さんの協力で成り立っております。そうそうたる皆さんの前でお話をさせていただいて恐縮しております。

PRということにつきましては、情報発信ということが大切だなと思っています。今、皆さんのお話の中で西陣にベースとしてあるものを、これからどうやって発展していこうかというお話ありましたが、私たちもラジオの取材をさせて得頂く中で、北区、上京区に元々あって、本当に良いものだけど全然知られていないくて、使われていないものが結構多いなと感じています。すごく良いものなのに勿体ないことになっているものが多いので、そういったことを、私たちを活用して情報発信していただければ嬉しいなと思います。

今、配布しております番組表をご覧いただきますと、北区の情報発信だけでなく、上京区の番組もスタートする予定となっています。西陣の魅力も発信させていただきたいと思いますし、上京区は今年で140周年を迎えるということもありますので、未来につなげるように、皆さんとご一緒に私たちもPRしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

<感想 京都信用金庫理事長 榊田隆之>

凄く盛り上がって、途中から皆さん方の表情が笑顔に変わっていったので、良いなという気持ちにさせていただきました。かつ、今、発表頂いても制限時間を守らない人が多い。如何に皆さんが熱いかということも確認できましたし、特に仰ったように、PRですね。ムービーを作ったりして、西陣がもっと楽しい場所なんだということを知らせていくようなことは課題なのかなと思いました。多くの方が観光のテーマを取り上げていただきましたが、観光イコール外の人と西陣に本来いた方が、これから一緒に交わっていって、その中でいろんなフィクションが起こることではないかと思います。この場のように話し合って、どういう方向に行くのかを検討するなかで色々なことが生まれてきます。今、変化する時期なので、そういう意味でもこういうミーティングをもっともっとやっていったらいいなと思います。また、例えば、このテラスのような場所で、週末は必ず何かの市が立っているような、人が集まる場が生まれれば良いのかなと思っています。こうした話し合いだけでなく、その先にあるものを皆さんと一緒にこれから考えていけたら、もっと観光客の人も地域の人も一緒に時間や空間を過ごせる、そういうものが出来るかなと思いながら聞かせていただきました。

 

<感想 西陣R倶楽部会長 宗田好史>

今日のテーマは、「NISHIJINN~新しい京都を創るまち」ということでお話をしています。皆さん話し合いがとても上手だったのでお気付きだと思いますが、キーワードになっている文化、観光、産業、暮らし、そして地域という言葉をそれぞれの人が微妙に違う意味で使っています。それぞれの文化とか観光は、今、急速に変わってきていると思います。その変わっているということをどれだけ受け入れられるかという柔軟さを皆さんが持っていると思います。だから、私は、観光はこうだと思っていたし、色々な経験をしてきたので、隣の方が言っている観光の意味はどうも違うなと思われても、それを間違っていると言わずに、自分の考えをそれに合わせることができる。この柔軟さが新しいまちが生まれてくる大きなポイントになるし、西陣が変わっていく大きな力になると思います。私が30年前に西陣に来た時は、この町家を貸してくれと言った時に、大家さんは空き家でも絶対に貸さないとおっしゃっていました。戦後の地代家賃統制令などで貸したら取られるという経験をしたからです。それが、少しずつ変な若者が入ってきて、結構活動するようになって貸してくれるようになってきました。この大きなチャレンジ、変化が、今日ここでも起こっているし、この出会いが脈々と受け継がれていくということが西陣R倶楽部がしたい事なんです。我々が今まで起こしてきた変化はこれからも続いていくし、これまでの助走期間を経て、西陣が大きく飛び立ち、羽ばたいていく時期になると思います。今日の皆さんの柔軟さと新しいものを受け入れるという気持ちが、その為の大きな力となり、新しいまちが生まれてくる可能性を秘めていると思います。

 

<大交流会 宣言 北区役所副区長 上田千喜>

皆さん、大変お待たせしました。これから本番です。たぶんボルテージが上がっていると思いますので、テラスで夜風にあたっていただいて頭を冷やしながら、溜まった何かを吐き出していただきたいと思います。近所迷惑にならない程度によろしくお願いします。挨拶でも乾杯でもなく開会宣言をしろと言われていますので、その趣旨を踏まえて早速、宣言をさせていただきます。それではただいまから第3部の大バーベキュー大会を開催いたします!乾杯!

 

 

 

 

 

<中締め 挨拶 京都信用金庫西陣支店長 水谷善彦>

初めまして、京都信用金庫西陣支店の水谷と申します。本日は、このように沢山、西陣R倶楽部の皆さん、そして西陣サロンの皆さんにお集まりいただきありがとうございました。最初、企画を頂いた時に、お近くでなかなか交流ができないというお話でしたので、その繋ぎが我々に出来たらなと思っていたのですが、いやいや、この盛り上がりは私らの力ではありません。そして、これだけ皆さん方で盛り上がっていただけたことが一番うれしいことです。

今日は、京都信用金庫の職員も色々と準備をしていましたけれども、なかなか至らない点が多々あったかと思います。それも重々承知をしてやっておりました。実は私たちの思いとして、ピンチの時に皆さん方が協力し合える関係づくりが出来ればと思っていました。今日も、100名の皆さん方のお料理をわずか数人で準備することはできません。だけど、皆さん方がそこでちょっと協力していただき、ビールを運んでいただいたりお料理を運んでいただくなど、お互いに助け合うことでご縁が出来てくるのではないかなと思っていました。昨今では、色々な災害もあって色々なところにボランティアで応援に行かれる方もおられます。それも、行ったり来たりでお互いに協力しておられます。ピンチになればなるほど皆さん協力されます。そういう意味でも、この場も皆さん方がお互いに協力して取り組めば、このまちが良くなるという見本のようなものかなと思っています。是非、皆さん方のご協力をいただき、我々も少しでもそのお手伝いが出来ればと思っていますので、これを機会に皆さん方の輪の中に我々も入れてください。どうぞよろしくお願いします。本日は、ありがとうございました。