アトリエ翠々(すず) 代表 加藤 弥生氏
お客様の個性を引き出すために!
図案から染めまで、帯から着物まで
京都最古の花街、上七軒の路地中の京町家ののれんをくぐると、奥の間に工房が見える。柔らかい色遣い、繊細な意匠の友禅の似合う女性作家の着物への愛情と情熱が満ちている。
<東京から京都へ>
日本画を描く延長から幅広いアート表現を模索していた中で出会った東京の友禅工房に弟子入りしていたところ、師事した師匠が10年前に急死。その時に京都衣笠の友禅工房「杉達」の杉本宏一氏からの声かけがあり、京都に呼ばれて今日に至る。
このアトリエは、杉達の師匠が懇意にしていた上七軒の飲食店からの紹介で入居。細長い作りの京町家は反物を張り伸ばす友禅の仕事場として理想的な空間であったことが入居を決めた理由であった。その後、この小さな家で生活をしながら淡々と仕事をしていたが、それは奇しくも昔の写真でしか知らなかった昭和はじめの京都によく見られた職住一体型の生活であった。
実際、この長屋続きのお隣には西陣織を支える図案家が住んでいたらしいが、そこも
空き家になり、気がつけばこうした家は皆ゲストハウスになっている。そうした状況下でこのままでは、京都らしさが無くなるという危機感が芽生え、自分が今の時代に合う形で昭和の職住一体の工房を体現していこうと決意して1年前にのれんを掲げた。
<京都(分業制)から東京(一環工程)へ>
京都は、量産と品質の維持向上を図るために室町問屋を頂点に京都の町全体が糸偏の工場の用に分業体制が確立していた。一方、東京にはそうしたシステムは無く、図案から引き染めまで全部一人の作家が一貫して創作していた。日本人の衣服変遷の中で需要量が減ってきた着物。すると量産体制のための分業制という構造は時代に合わなくなり、京都の職人の置かれる状況は厳しくなっている。そうしたことを目の当たりにして、早々から職人の独立性の大切さを訴えていたのは東京の友禅工房で身につけた経験があったからこそである。
こうした背景をふまえて始めたのが、職人とユーザーが直接繋がる機会を自ら企画し、西陣という立地を活かし、染めのみならず織手や異技術の職人とグループ展を開催するなど市場開拓に取り組みながら試行錯誤する日々である。
店名
アトリエ翠々(すず)
名前
代表 加藤 弥生
住所
京都市上京区真盛町741-5
電話番号
075-354-6393
営業時間
9:00~17:30
定休日
不定休
webサイト
https://www.facebook.com/pages/あとりえ翠々/1256020091174934