京都デザイナーズ アートアクセサリー naeclose 代表 西 紗苗

<高校時代のオーストラリア留学でアクセサリーと出会う>

ものづくりが好きな少女が高校時代に運命的に実現した1年間のオーストラリア留学でクラフト、アクセサリーを手掛けるホストファミリーと出会いアクセサリーの世界に目覚める。

帰国後、作成したアクセサリーをプレゼントすると大いに喜んでもらえた。人に喜んでもらうことが好きな少女がアクセサリーを通じて人を喜ばせることができること、そして、自分で思った以上に出来栄えの良いアクセサリーを作ることができることに気付く。その後、失敗を先生としながら独学で自由に技術を高め、naecloseのオリジナリティの基礎を築く。自然や都市の風景、しばしば出かけた海外の建築や調度品からインスピレーションを受けて作品に反映し、さらに、自らの作品と似たデザインを見ると2度と作らないということを繰り返しながらオリジナリティに磨きをかけてきた。

そのため、自ら習得した技術を人に教えることには抵抗があり、20歳代半ばでアクセサリー講師の仕事を始めたが、どこまで教えるか何を教えるか手探りをしてきた。十年余り経過した今は、生徒さんと共に価値観を共有することに重心があり、技術は何でもオープンにしている。モノとしてのアクセサリーであるが、ネイクローズのアクセサリーを心の支えとしてくれ、自分の感性そのもののように受け止めてくれるお客様との関係性を基に次のステップを展望する。

<一生そばに寄り添えるアクセサリーを目指して>

オーストラリアから帰国後、自らパーツを買い求めてアクセサリーを作成し、フリーマーケットなどで販売を始め、どうしたらお客様に喜んでもらえるかを学び、1999年からnaecloseを名乗って販売する。当時は、インターネットもそれほど発達しておらず、リアルの世界でしか学べないことが幸いして多くのことを学ぶ。

naecloseには二つの意味がある。一つは、西紗苗(ナエ)が心をこめて作るアクセサリーであること。一つは、nae=no close、「いつもオープンな心」でいられるアクセサリーであること。いつも心に寄り添うアクセサリーと共にあることでオープンな気持ちでいることができるアクセサリーを提供したい。

<紆余曲折を経て店舗経営へ>

京都産業大学に進学後も、アクセサリー作りは継続し、友人の母親が携わっているウェディングドレスの会社から初めてオーダーを受けて制作したり、友人に販売したりしていた。卒業後、アパレルメーカーに3年間勤務し販売業務に携わった後、京都市の創業支援の認定を受けて2007年の1年間、新風館でワゴンショップを始める。その間も、開業するお店を探しており、翌年、富小路三条に町家の路面店をオープンさせた。学生時代から町家に関心があり、町家が残っている三条通りに魅かれるものがあり、この近くでお店を持てればよいなというイメージを持っていた。この店は、新風館に行くために自転車で通りかかった時にたまたま見つけて、一目で気に入って、1週間後には契約していた。その後、経営のイロハを実地で学びながら店を継続し、途中、仕入れも、雇用も後先考えず事実を先行させ、舞い上がっていた時期もある。家族、友人、経営者仲間、お客様など多くの方々からの支援を得ながら、銀行とのお付き合いの仕方も学び、徐々にお店の経営者となっていった。今では、従業員の社会保険に入るなど、きちんとした経営をおこなえるようになってきた。

<京都西陣ろおじとの運命的な出会い>

三条の店は大好きな場所であったが、いつからか、百貨店の催事など店の外での仕事をすることに注力し、ひたすら身体を酷使して仕事をしていた。家族には「身体を使わず頭を使え」と言われていた。そうした時に、長野に旅行中、病気で倒れて京都の病院で入院することになった。1か月の入院期間中、各地で予定していた催事の仕事はスタッフの協力により継続する反面、店を1週間閉めざるを得ない事態になった。

入院中に、誰のために何のために仕事をしているのかを考え、自分自身のためにもゆっくりとする時間を取りたいと考えるようになり、移転を検討するようになる。退院して家で安静にしている時に、京都西陣ろおじと出会う。以前から、京都の材料でアクセサリーを作っている事からつながったご縁より、百貨店の催事で職人さんをコーディネートしたり、一緒にワークショップなどをしていた。この施設のコンセプトがそうしたネイクローズの仕事の仕方とマッチすると思って連絡した。すると事業者は商工会議所でお世話になっている吉田さんが社長をしているフラットさんだと分かって、これは行くしかないと移転を決めた。吉田社長から、ここで職人さんとワークショップをやりたい、人が集う場所にしたいと聞き、ネイクローズがしたい事とジャストフィットすると思った。表のアクセサリーショップ、お客様にリラックスしていただくカフェ、奥の工房兼パーツショップ、ろおじでのワークショップスペースの確保、しかも、美しく改修されている。これ以上のところはなかった。

今、少しずつではあるが、したかった事が実現しつつあり、お客様との時間も以前よりも持つことができている。スタッフにも以前よりもゆったりとした時間の流れで仕事をすることの大切さを伝えることができている。ゲストハウスがあることも、ひそかに思っていた海外の方に関る仕事をしたかったことが叶っていたりする。売上よりも、何をしたら楽しいか、お客さんが喜ぶかを考えることに集中できていることが何より良かった。

そしてこの場所で何かすることにより、環境を与えてくれているフラットさんのためにも何かお返しできるのではないかと頑張れることもうれしいことで、まだまだこの場所の可能性がたくさんある気がして、なによりワクワクしている。

以前は、誰かに認めてもらいたいという気持ちが強かったが、不思議今はその気持ちは無くなり、カフェコーナーで自分の飲みたいものを提供してそれをお客様が喜んでいただけるなど、自分のしたい事を素直に力まず、楽しいと思っていることをお客様が共感していただいていることで、すごく幸せを感じている.

周りから見ると、いろいろと新しいことを始めたように見えるかもしれないが、自分としてはこじんまり、コンパクトにしたつもりでいる。そして、以前はもうしんどいなと思っていた事も、すべてに意味があり、学びがあり、さらにそれがやっと活かすことができるのだとわかった今、これから何ができるのかと期待感でいっぱいで、200歳くらいまで長生きしたいと思う自分がいることに今驚いている

店名

京都デザイナーズ アートアクセサリー naeclose 京都西陣ろおじ店

名前

代表 西 紗苗

住所

京都市上京区東西俵屋町144

電話番号

075-414-6088

営業時間

アクセサリー:10:00~17:00、カフェ:8:00~17:00、手芸パーツ:13:00~17:00(金・土・日のみ)

定休日

水曜日、年末年始

webサイト

http://naeclose.com

その他