第13回西陣R倶楽部(西陣Rウィークの振り返り)

第13回西陣R倶楽部

議題:2019西陣Rウィークの振り返り

日時:平成31年3月25日(月)午後7時~午後9時10分

場所:TAMARIBA

 

<会長挨拶>

みなさん、遅い時間にお集まりいただきましてありがとうございます。ちょうど1年前にこの場にお集まりいただき、西陣にお集まりの新しい皆さん方と一緒にまちづくりを始めようとスタートした会です。遡りますと、25年以上前にこの会のメンバーでもあります妙蓮寺の佐野住職が西陣実顕地の会(後に西陣町家倶楽部)という活動を始められ、陶芸の女性作家やつづれ織りの若い職人が町家に住み始めました。今、振り返ってみるとアート・イン・レジデンスの取組でしたが、安く、気楽に空き町家に住むということが重要なポイントでした。少しずつそういう町家をお世話しながら、若いアーティストたちに住んでもらうという取り組みでした。そういう取り組みが徐々に広がっていって、今日の京都のまちづくりのベースができたと思っています。そして、25年経過してようやくフラットエージェンシーという会社が出てきて、会場や人材の提供を通じてこの活動を支援してくれています。最近のフラットエージェンシーの目覚ましい活動は皆さん良くご存知ですので詳しくは話しませんが、会長の思いを若い社長さんが引き継がれて、まちづくりを進めて住みよい地域をつくることを目指しておられます。

アートと留学生の存在は様々なイノベーションを起こします。この3月の西陣Rウィークによって、この地域にはこんな人が活動しているんだということが分かってきました。そして、これから西陣がどのような町になっていくのか未知数ですが、何かすごいことが起ころうとしています。今までの西陣とも違う、今までの日本に無かったような新しい町ができるかもしれません。そこに留学生や日本の学生が入れ代わり立ち代わり入ってくる。そして、この西陣が暮らしやすい、手ごろな値段の家賃で、子育てをされる方や小さな工房を持つ方がやってこられる。こうした状況の中で、インバウンドの人たちが、金閣寺や銀閣寺といった有名社寺見学ではなく、西陣の町の中に入り込んできて、交流を楽しみ、自転車を借りて走っています。そういう海外の方がじわじわと増えてきています。そして次の10年間は、そういう人たちが中心になる時代になります。その時の未来の町を夢見ながら、皆さん方の力を結集して今までなかったような町をつくっていっていただきたいという取り組みですので、来年も再来年も西陣Rウィークを継続していく中で皆さん方のお力をお借りしますが、皆さん方の力にもなれるような取り組みにしていきたいと思います。ここのお集まりの皆さんがどんどんと伸びていくことが最大の目的ですので、皆さんのお知恵をお借りしながら進めていきたいと思います。今日は、よろしくお願いします。

 

 

<活動報告>

資料に基づいて事務局が報告するとともに、出席の参加者から感想・意見を伺う。

  • GuRuRi(ぐるり)スタジオオープンデー NPO法人こどもアート 加藤 ゆみ氏

今回、こうして初めて西陣の皆様の中に参加をさせていただきました。昨年の夏ぐらいから千本北大路のラジオミックスさんのサテライトスタジオを拠点にさせていただいたこともあって、まだまだ地域の中に浸透していません。そして、地域から不要になった廃材・端材を回収できるネットワークができていない状況でしたので、これから少しずつ関係性を広げていけたらなと思って、西陣R倶楽部に参加させてもらっています。よろしくお願いします。

 

  • ボディーセラピーたまのお 森野 桂子氏

第1回目ということで、私たちとしてもどういう風に周知をしたらよいのか悩みました。けれども、新しく知っていただく機会となったことはとても良かったと思っています。そして、京都信用金庫の職員さんにお二人に来ていただいてとてもよかったです。この立派なチラシを作っていただいてとてもありがたいなと思ったのですが、これだと、何が行われるのか理解することに限界があるので、各取り組みの横にQRコードを付けていただいて、見出しに興味を持った取り組みをさらに詳しく知っていただけるようにしていただければ良かったと思っています。一つの提案です。

 

  • やまゆう堂 林 裕子氏

印象としては、西陣Rウィークだからということでいらっしゃった方は少なかったように思います。南インドの定食は「ミールス」というんですけれども、このファンの方にはけっこう来ていただきました。SNSで発信したら、これを目当てに来ていただいたお客様がけっこういらっしゃいました。この「ミールス」という料理は、手がかかるのでなかなかお客様に提供することができなったのですが、この機会を利用して作らせていただいていろんな方に喜んでいただいたので良かったなと思っています。

西陣Rウィークを自分のお店でやっていたので、特にそう思ったのかもしれませんが、イベントをやっている感とか、横の連携というか、同時開催感が感じられませんでした。チラシは、店の外に何枚か貼らせていただきましたが、なかなか、盛り上がりに欠けたように思います。西陣R倶楽部のお披露目的な意味合いもあったと思うのですが、西陣R倶楽部の説明から始まって、西陣Rウィーク、そして南インド料理の説明にたどり着くまでがずいぶんと道のりがありました(笑い)。そこで、チラシやリーフレットだけでなく皆さんのお店や工房の前に西陣R倶楽部の分かり易いエンブレムのようなものがあって、イベントの目印のようなものがあればよかったと思います。そして、イベントの時だけでなく常時、店内に飾っておける会員証の様なものがあると、会員としての意識が高まったり、地域の方の目に触れる機会も多くなって、周知につながるのではないかと思いました。

 

<意見交換(宗田会長の進行)>

 

宗田)ここらからは自由にご意見を頂きます。先ほどはやまゆう堂さんからご感想とご意見を頂きましたが、同じような趣旨で、こどもアートの加藤さんからご発言をお願いします。

加藤)横のつながりといいますか、お互いの顔が見えてくると一体感も増してくるなと思いますので、こういう会議にどんどんと皆さんに出てもらえる場にしていくことが大切ではないかと思います。

宗田)皆さん、お一人でやっておられることが多いので、月に一回の会合は出席しにくいのではないかと思います。この地域で一緒にお仕事をしている者同士が、今日出席できなくても、明日か明後日、ちょっと前を通った時に今日の様子を言ってあげるような繋がりを作っておくことが大事だと思います。それから、いろんな方にこういう仲間がいるんだということをご案内いただくことが、お互いがお互いを知って他の方にも言っていただくことが、今回の大きな狙いだと思います。台湾のお茶をやっている方が南インドのカレーのご案内をするなんてことは面白いと思います。そういうことが広がってくると面白い町だな西陣は、と思って貰えます。

加藤)新しい経済圏というか、近い者同士、つながる者同士、新しいコミュニティができていくと良いなと思います。

宗田)そう、コミュニティですね。経済圏というより文化圏ですね。

 

荒川)個人店というか小規模なお店で、知る人ぞ知るというか、乃至は知らない人が多いというお店が多いと思います。そして個々人の魅力を西陣R倶楽部が繋げて、点が線に面になっていけばよいと思いました。

森野)先ほど、おっしゃったように、ここに参加しているもの同士が知らない。でも、自分の友達でそういうものに興味がある人がいるかもしれない。個々でSNSで発信している人はいたかもしれませんが、ここで何をやっているのかを発信者自身が知らなかったら、友達にも伝わりません。皆がこんなことをやっているんだということをお互いが知ることが大事だなと思いました。

 

宗田)どう知るかということがありますよね。森野さんたちの取組であるセラピーも足裏マッサージも単に体の調子を整えるだけでは無く、気持ちを盛り上げたり、いい気分にさせてもらったり、お互いのコミュニケーションを図ったりするもので、まさにアートといっても良い存在に近いものだと思います。昔は、音楽を聴いたり絵画を見たりすることだったわけですが、もっと身近な新しいアートなのかもしれません。そして、こういう情報は、文章化して伝わるものではなく、本人から直接、あるいはそれを体験した人から口伝えで伝わるものではないかと思います。もう少し、ライアーについてお話しください。

森野)ライアーは今から10年ほど前にドイツ人が発明したもので、周波数が今の音楽より少し低く、違うピッチに調整された弦楽器です。シュタイナー教育で使われた周波数と同じ周波数の楽器なんです。それを子供たちに聞かせると情操教育に良い効果があるとシュタイナーが提唱しています。それを基に作った楽器なので、心の深い部分に影響を及ぼすと言われています。心も解放されるし、振動が身体の不調なところを整える効果もあります。

 

宗田)伏見の方はどんな印象、感想をお持ちでしょうか。

勝賀野)伏見で地域振興をさせてもらっています。伏見で活動していて思うことは、中小企業がなんで地域振興するのかということに疑問を持っている人がたくさんいるということです。同友会の仲間でもそういう認識の人が多数です。なんでそんなことをやらなければならないのか、という他人事で考えている人が多いのです。そこから思うことは参加されている店舗の方々が揃いの法被を着てやると、町の人の意識も変わると思いますし、自分も参加したいと思い人が増えてくるのではないかと思います。つながりということはすごく大事で、そのため皆でという意識を涵養することが求められます。そうすると、地域内経済循環といいますか、小さい地域の中でお金が回っていくという仕組みができていくのではないかと思います。

 

宗田)この西陣に集まってこられている人たちは、商売を大きくしたいと思っているのでは無いのではないかと思っています。いかがですか。

荒川)そうですね、居心地が良い町にして、心地良く暮らしていきたいと思います。

 

宗田)そう、居心地が良いことが大切ですよね。そして理解者を増やしたいというか、仲間を増やしたいということだと思うんですよね。昔、この界隈でも、商店街振興ということで、大売出しを行いました。皆で幔幕を張って商品券を配ったり福引をしてやりましたよね。あれは、売上を伸ばすことが目的でした。けれども、皆さん方の事業は、高度経済成長期の時の商店街のように、売上が毎年伸びて行って、町家が鉄筋コンクリート3階建てのビルに変わって、従業員を3人ほど雇ってというようなことはしないと思います。望んでもおられないと思います。むしろ、ビルを建てるくらいだったら古い町家を少しずつでも改修していくことを志向されていますよね。地域振興というベクトルの向きが変わってきているという感じがします。お客さんを連れてきて欲しいけれども、いいお客さんをセレクトして連れてきて欲しい。突然、全く理解していないお客さん来て、どこがヒーリングなのだというクレームをつけて帰るなんてのは嫌じゃないですか。普通のマッサージ師のように思われたくないという気持ちもありますよね。そういう意味では個性を大事にしたり、やりたいことを大事にするという意味での地域振興が皆さんが望んでおられる町の仕組みなのではないかと思います。だからビジネスマッチングをするとか、名前を連呼するのではなく本当に良いところ伝えたい、伝わる人たちのコミュニティを大切にしたいという町の在り方が望まれているのです。ところで南インドは何が良いんですか?

林)南インドは暖かいところなので、野菜やお米が豊富に取れるので、そういうものをたっぷり使った優しい味のカレーになります。私は、身体に優しく元気になるカレーを作りたいので、南インドのカレーに着目していますし、合わせてオーガニックも取り入れて安全でおいしいカレーを目指しています。お話を伺っていて、私もガッツリ儲けたいとか大きくしたいという思いではなく、お客様とのコミュニケーションやきちんと料理をすることで自分の思いを共有していただけるコミュニティが広がっていって、西陣という場所を選んで事業をしている小さなお店が元気になり、また、そういったお店を開きたい、お店意に行ってみたいという動きにつながっていったらいいなと思っています。なかなか、近所の方とつながることは難しいんですが、そういった思いで西陣の中でやっておられるお店とのコミュニティとかお客様とのコミュニティの広がりを感じながらやっています。

 

宗田)まさにそういうことがこれからの西陣のまちづくりを進めていく根本なのだと思います。未来の西陣を示唆していると思います。西陣活性化プランを策定された京都市の酒井さんはどう感じられましたか?

酒井)西陣月間では50を超える取り組みを開催していただきました。西陣Rウィークの取組もいくつか見せていただいて、非常に面白いなと思いましたが、先ほどから出ていますように周知不足ということがあって、若干お客様が少なかったことがもったいなかったなと思っています。京都市もビジョンをつくるだけでなく事業化していこう、つながりをつくっていこうと思っています。西陣には面白いものや魅力的なものが沢山あり、調べれば調べるほどわかってきます。そのいいところを知る人がつながっていく、そういうコミュニティをいかに作っていくかが次の課題となっています。京都市でも、4月以降そういった取組を進めていきたいと思っています。

 

宗田)先ほど、林さんが仰ったことは、この西陣には感性の高い人が居た。だから、食材を探しに行った時も林さんが望んでいることに響いてくれる人が居て、何度か取引しているうちに共鳴してくれるようになり、自分のことを分かってもらえるようになる。さらに、その人が林さんの店というか南インド料理を友達に話してくれることを知って、本当にわかってくれているんだと気持ちが豊かになる。そういう事だと思うんですよね。赤の他人だった人が共鳴してくれて寄ってきてくれる、そういうところで仕事をしたいわけなんですよね。それで、そういう町がいいわけでしょ。田舎でも都心でもいいんだけども、林さんの雰囲気じゃないところに行くと、周りは冷たく、何しているんだと批判されるわけですよね。

林)あえて西陣を選んで来られた方たちは、何か共感できる人たちが多いです。

森野)私は地元が北区だったのでこちらに来ましたが、10年間勤めていた会社を辞めて京都に帰ってきたので、一からの人脈作りでした。どうしようかと思っていたら、ツキトタネさんに出会って、そこから色々と教えてもらっているところで、まだまだこれからなんです。でも、この10年の間に私が知らない京都がこんなにあるんだと驚いています。

 

宗田)おそらく伏見も、西陣以上に伏見らしさを求める人たちが集まってきていると思いますが、いかがですか?大手筋の商店街には古いお店もあれば、その裏の方では新しい人たちが出店してきているという動きがあるのではありませんか。酒造メーカーさんの隣で小さなオーガニックの野菜料理のお店が出店してきているということがあるので、そういう人たちをつなげていくことが、従来の商店街振興でも地域経済の活性化とは違うことになるのかなと思います。

勝賀野)大手筋は特殊で、残っているほとんどの店は東京資本です。昔からの店はわずかです。その分、家賃が高くて、元々の商店主は不動産を賃貸して生計を立てておられます。新しくお店をやりたいという人は南北の細い通りに進出しておられます。今、伏見の七つの商店街がF7と銘打って、そういう新しい人達を巻き込んでやろうとしておられます。

 

宗田)思惑どおり連携できるといいんだけども、今、林さんが仰ってたような動きとはつながりにくいのかもしれませんね。西陣R倶楽部に集まっておられる食関係の人たちは皆さんそういうお店ですよね。センスがいいと言っても良いし、オーガニック系だと言ってもいいし、どことなくアジアンテイストだったりします。もしかすると西陣スローフード巡りとか、西陣オーガニックフード、西陣食文化何とかというふうにまとまるかも知れないし、もちろんメインのアート系の方でも、先ほどの銀瓶とか手描き綴り、友禅の作家さんが居たりしますから新しい西陣が生まれてくるかもしれません。もちろん、木村卯兵衛さんや渡文さんなど歴史と伝統のある本格的な織物生産がバックにあればこその新しい動きなわけですよね。これから西陣はどん町になってくると思われますか?ずっと、これから西陣にお住まいですか?

森野)実家が北区なので、そんなに離れることはないと思います。外国の人が集まる都心部とは感じが違うというか、クリエイティブな人、良い意味で変わった人が多いという西陣は面白いですね。

 

宗田)清水とか金閣は、中国人の団体客が多くて、伏見稲荷もそうですが、少し離れると個人客が多くなりますよね。この西陣界隈は、大徳寺はありますが、それほど外国人であふれかえるというところではないですよね。だから、分かった人しか来ない町だと思います。ローマでいえばトラステーベというテレべ川沿いの下町、パリでいえばカルチェラタンです。どこに行っても奥まった場所のようなところがあって、外国人はそういうところに行くとすごく楽しいと思うんです。その町の本当の良さが分かる、そこに本当のパリの人がいたりします。西陣はそういう町になる可能性を大いに持っていいます。そもそも、外国人が全く関心を持たない町だったら、単に奥まって寂れた町でしかありません。けれども、そういうところに外国人が来るようになると、それにつられて全国から若い人が集まるようになります。外国人の中には住みついてアートをやる。そういう文化的可能性がある町になってくるかなと思います。木村卯兵衛さんとしてはどういう展望をお持ちですか?

木村)本業は、直接消費者に販売するという形態ではないので、オリジナルな図案で織った帯地を直接消費者に提供することを目指して、イロハという店を出しました。西陣織は価格が高くて一生、着ることが無いということではなく、洋服でも持てるような小物などを製造販売しています。西陣でもそういうことをやっていらっしゃる方は結構いらっしゃいます。西陣織をより身近にしていかないといけないと思っています。「西陣やからええもんや」という奢った考え方をして消費者にそっぽを向かれてきた時代がありました。その対策の一つとして、「西陣織やからええもんとちゃうの、その割に安いね」といっていただけるような店をつくりたいなということで、ネットと店舗でそういう店を始めました。店の前の大宮通では、毎年一回、春分の日に千両が辻のお祭りをしています。地域的にまとまっているので、多くのお客様にお集まりいただきますが、西陣Rウィークは、時期も場所もバラバラの中でやっておられてですごいなと思っています。これを取りまとめるという面白いけれども難しいことをやっておられるなと思っています。今回、お声をかけていただいて、一度、どんなんかなという思いで寄せていただきました。まさに1回目が終わられていろんなことがあるんですけれども、お互いに離れていながら何か一体感を持ちながら、けれども束縛しすぎずにという、非常に難しい集合体であると思うんですけれども、取組としては非常に面白いなと思いながら聞かせていただきました。何が答えかまだわかっていませんが、そういう中の一つに我々の方としても何かしらできることがるのかなと思いながら聞かせてもらっています。

 

宗田)西陣R倶楽部のメンバーは商店街振興組合と異なり、お金を出し合って、共同のイベントをしたりアーケードを作ったりするような組織ではないですよね。幸いなことに、株式会社フラットエージェンシーがついているので、会場費や事務局の経費は心配しなくてもいいんですよね(笑い)。ただ、町の雰囲気が良くなってくると、じわじわとこの界隈のポテンシャルが上がってきますよね。あまり上がって欲しくはありませんが家賃も上がってくるかもしれません。そこで皆さん方は何をすれば西陣R倶楽部に貢献できのでしょうか?先ほど話が出ていたように、お互いのことを良く知って、ほかの人に上手に伝えて褒めてもらえるようにすることです。その時にはよき理解者であることを心掛けなければいけません。余分なことは言わずに、本当にアッと思うようなポイントを的確に上手に伝えてあげることです。そうした感性をお互いに磨きあっていくできれば皆さんのためにもなるし、町のためにもなるということだと思います。そういう事を分かり易く西陣R倶楽部の理念として作っていくということを目指していくことだと思います。先ほどの木村さんのご指摘に答えがあるとすれば、そういう事を皆さんが感じていらっしゃるとすれば、そういう事に取り組んでもいいかなと思います。

 

ばんばみーあ)お金を懸けずにお互いが良いまちづくりをするというということはすごくいいなと思いました。そのための発信が難しいという話でしたが、やはりネットの活用が費用を懸けずに情報を発信できる手段だと思います。これだけ会員さんがいらっしゃるのであれば、順番にお互いの情報を発信し続けて行けば良いのではないかと思います。お互いにこういう事をしている仲間もいるのだということを知れますし、新しい人にも知っていただくことができます。違う方が発信されたときに、仲間でありながら仲間のことを知る、また、仲間でない他の地域の方も知ることができます。それが充実してくれば、地域外の人も西陣でこういう取り組みがあるんだということを知って町を巡っていくこともできます。西陣R倶楽部のRとはいったい何で、何をしようとしているかということを明確に分かり易く、全く知らない人が分かるような何かが無いと伝わりにくいのではないかと思います。

宗田)このチラシに、一応書かれていますが、ここに描かれている愉快な仲間という言葉が、今日、共感だとか、センシティブだとか感性が高いとかいう言葉で話されていたことですよね。

ばんばみーあ)このRを分解して、きちんと発信すればもっと分かり易くなるのではないかと思います。

宗田)リノベーション、リヴァイタル…、リクルートなんて言うのもありますね。

ばんばみーあ)ホームページなどに地図があって、分かり易くモデルコースのようなものが掲載されていると巡ってみようかなという気持ちにさせられます。

荒川)そうしたコースが載っているだけで、それを見ながらブラブラしますからね。

 

寺田)今回のイベントで初めて地図ができたことも成果の一つだと思っています。もう一つ、この会に参加いただいている方たちはお金を儲けたいという方たちではなくて、自分が自分らしくありたいとか、自分が思っていることを表現してそのことを理解していただける環境を求めていらっしゃいます。そういう事を求めておられる方が集まっておられます。そのことがイノベーションを生む土壌になっていると思っています。そして、この界隈が京都の中でも最もそういう気風を持つエリアだと思っています。会員の方々もクオリティや感性を大変に大切にしておられて、それをお互いに尊重し合える会であれば良いという方々です。観光的に取り組みを進めるということはお好みではなく、けれども、知る人には知ってほしいという思いはお持ちです。そのバランスが大切ですし、難しいところです。あまり何もしないと盛り上がりに欠けます。やはり、もう少し知っていただくというか、お互いに知り合っているというネットワークを充実する必要があると反省しています。もう一つは、北区の自治連会長が全員お集まりになっている会合で、この取り組みに紹介をした際に、「こんな店ができているなんて知らなかった」という会長がいらっしゃいました。今後は、ポスター貼りのお願いを兼ねて、ご挨拶位していきたいと考えています。

 

宗田)ここに、元々の地域の方はどのくらいいらっしゃいますか?少ないですよね。西陣で暮らしておられる方で地域で生まれ育った方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?現在、学生が20数%、単身のサラリーマンが20%、それだけで約半数を占めます。さらに、転勤族の方が20%くらいです。ここにお集まりの皆さんは、そんなに大勢のお客はいらないし、インバウンドの中でも京都やこうした取り組みを分かってくれる人だけに来てもらえればいいわけですよね。そういう人達にとって情報を発信したいと思っている対象は、これからあの時代の感性を担う人だと思います。事務局をしていただいているフラットエージェンシーさんは、この4月からこの町に住む何人の若い人をお世話されましたか。

吉田)1500人くらいです。

宗田)その人たちにこの西陣R倶楽部のことを伝えてくれることって、結構重要な事ですよね。面白そうだと思って来てくれる人が大切ですよね。それと、失礼な話ですが、皆さんは、ご自分の子供に継がせようとまでは考えてないでしょう?私が申し上げたいのは、ずっとこの商売をしていこうと思っていない人たちなんだということで、それはそれでいいんだと思います。そんなにお金を儲けたいと思っていなくて、自分らしい楽しい仕事をしたい。それが新しい時代の価値観だと思います。ひとまず、5年はやってみよう、5年やってみると次の5年が見えてくるからまた5年やってみようというくらいのペースでやっているんだと思います。人からみると不安定に見えるかもしれないけれど、自分で、それでいいときめてやっていらっしゃるので、それでいいんだと思います。そして、時代はそういう方向に進みつつあります。そういう意味では、4月からこの町に住み始める若い人たちを確実に捕まえることは大切なことです。その学生たちは4年たったら居なくなります。サラリーマンでも5年たったら転勤したり、子供ができて別の町で家を持ったりします。その数年の間、この町を素敵だなと思ってくれる彼らは、この会の会員さんたちを通じて京都の良いところを知ってもらったり、身体にいいものを食べることの喜びを知ってもらう事って良いことですよね。そのことがこの西陣の町の感性の良さにつながっていると思います。そのことを分かった上で、こうした若い人に人気のエリアにしたいというフラットエージェンシーの社長がやろうとしていることがこの西陣R倶楽部なんですよ(笑い)。

吉田)そうです。

 

林)私は、町内会に入っているんですけれど、町内の良い家が壊されて、家族向けの小さな家が2、3軒建てられたりして、人は転入してきているんですが、何かやるとなったらその土地の古いしきたりを何も変えていけないような感じで、皆がそこの土地のやり方に合わせていくという感覚があります。それに引き替え、この会は分野は様々で違いますが、思いとしては共感できる近い人たちがいるので、そうしたつながりを結んで、少しでも魅力的な町になるように無理のない範囲でやっていきたいと思っています。

宗田)西陣にはいろんな人が住んでいて、帯屋さん、織屋さん、日蓮宗や社会福祉協議会が強かったりしますが、皆さん方がネットワークを作ってつながりながら若い人たちを引き付けて、皆さん方の西陣というのが、何層もある西陣の一つくらいは皆さん方の層があってもいいと思います。

林)この会の人は皆、ポジティブに西陣のことはとらえているので、それは、良いエネルギーとなっていると思います。

 

宗田)西陣全体はどうか知らないけれど、私たちの西陣はしっかりと作りたいということなんでしょうね。そのお手伝いをこの会はしているということなんですね。フラットエージェンシーが相手にしているのは古い大家さんかもしれませんが、毎年、大勢の新しい人たちのお世話もしておられます。その人たちが確実に4年間住んでくださるということがありがたいわけで、その人たちにこの町に、西陣に住んで良かったと思ってもらえるようにすることが仕事なわけです。

吉田)そうなんです。4年経って、実家に帰られたり就職されたりで京都を離れられますが、私の思いとしては、この西陣に住んで良かったな、もう後2年住もうかな、3年住もうかなと思ってもらえるようになれば良いなと思っています。そういう魅力のある町だと思います。そして、皆さんおっしゃるように感性の高い方が住んでいらっしゃるので、そこに来る方もおそらく感性の高い方が来ておられるんだと思います。最初にご紹介のあったネイクローズさんも、人であふれている三条富小路が嫌になって、西陣ろおじに移って来られました。そういった方が集まるエリアかなと思います。この会としては、そこを発信していけば良いのか、我々の中だけでつながって行けば良いのかなかなか難しいところですが、こういう会を通して、皆さんが顔と顔を合わせてお話しできるようなそういう機会がここで持てたらうれしいなと思います。そして、そうした感性の高い方々が出会うことによってイノベーションが起こってくることを期待もし、目標ともしています。

 

宗田)1年間、いろんな方のお話を聞いて、その方たちの背景とかこれからやりたいことなどを聞き出してきました。共通する特徴としては皆、若いということと、女性が多かったですね。そして、これって商売になるぞと思うことが多かったですね。それって、とても素敵なことで、それは新しいからですね。そんな商売は昔からあったわけで、それを見事に表現されて、みんなの気持ちに響くようにしておられます。新しいことが生まれてくる町であり続けることで、何か元気になって来るとか最先端に触れることができる。やはり若い力って大きいものがあります。今後もしばらくは、皆さんの話を聞く活動は続けていきたいと思うし、ネットワークを広げていきたいと思います。面白いことをやっているんだと分かるだけでも元気になります。最近、講演で高齢者はクルーズではなく家のリフォームにお金を使って、毎日の暮らしを豊かにすべきだというお話をしました。これはインテリアの業界に責任があって、室内を豪華にすることがリフォームだと思わせてきました。定年退職した人が健康で豊かな老後を20年、30年にわたって暮らし続けていける家はこうあったほうが良いという提案ができないでいます。モダンリビングを作るのは得意なんだけれど、老夫婦がしっとりとゆったりとした時間を過ごせる健康的な空間をつくることはできないでいます。決して贅沢な食事が並ぶわけではないんだけれども、シックな食器に、取れたての旬の野菜がちょっと盛ってあるだけで、すごく美味しい時間が過ごせるような生活を送りたいと思っている方は多いと思います。皆さんは、そうした質の高い暮らしを演出するためのアートやクラフトとか健康の形を提供する人たちなのです。そういう町を私たちも創っていかなければならないのですが、そのためにも、そうした充実人生を実現するインテリアの形を追求していく必要があります。狭い敷地に3階建てのマンションを建てても住みやすい町になりません。狭い敷地に3階建ての家を3つ建てても良い町にならないことは分かりますよね。本当に日本人が求めている町はこういうものだよということをフラットエージェンシーが提案し実現していくことも大切な仕事だと思うんです。そういう町を作っていく情報交換というか具体的なアクションをフラットさんを中心にやりたいなと思っています。それが未来の町が目指す方向性かなと感じたりしています。そういうレベルであれば日々の皆さんの活動が生きてくると思います。この町に住み始めた皆さんに良い町だと思って貰える町を創りたい。そのために皆さんの力を借りたい。皆さんもそのために力を出して、自らも有効に利用していただきたい。そのために西陣の町を変えていきたい。そういいことかなと思います。

壽円)上京区に住んでいる立場から発言します。僕もよそ者なんですが、中から町の仕組みを変えようとしていますが、結構敷居が高いです。自治連合会とか古いものを変えないということは良く分かるんですが、僕は、その辺は割り切って「えいやっ」とやっています。そして、ある程度深く関わると割とやり易いです。今日、少しびっくりしたのですが、皆さん儲けようとしていない。そういうこだわりを持っていらっしゃる方が多くて、観光客に迎合することは嫌だという事であれば、さきほど誰かが仰っておられたように、一つ一つに対するもすごく細かい情報を発信して、ある程度情報を知った人が目的をもって来るというお客さんを呼び込みたい、それでファンを増やすようにしたいと思っておられるのだと思います。それをこの会で共有して、それを広げたいということだと思います。ものすごく大変だと思いますが、ここにいらっしゃる人がものすごく細かい情報を発信することがその解決につながる一つの方法だと思います。そして、地域と連携を図っていくためには、区役所に間に入っていただくと効果があると思います。区役所の方が西陣R倶楽部を応援しますと公言して、地元とR倶楽部の橋渡しをしていただくことが良いのではないかと思います。そうすると地元の方も役所が言うのだったらなと受け入れてくれると思います。その上で、京都に来られた若い人たちにフラットエージェンシーさんが、西陣R倶楽部の人たちを紹介していただくと知名度も上がるのではないかと思います。西陣Rウィークも先ほど言われたように、業種を絞って今回は食べ物で、また次回はアートでなど、1年に3回くらい実施して、その発信も役所やリーフなどの伝手を使って発信して、継続すれば大きな取組になるのではないかという感じがしました。

 

宗田)北区役所の支援は既にいただいているんですよね。また、先ほどからご提案があるように、西陣R倶楽部のメンバーのお店にシールを貼るとかポスター掲出などによるPRということもありますが、リーフなどの媒体に一度、西陣R特集のようなページを作ってもらうこともそれほど難しいことではないと思います。もっというと、リーフと市役所が一緒になって地下鉄の駅に沿線情報を提供する無料冊子を配架したような取り組みも可能なのではないかと思います。岡崎でやったことがありますが、金融機関から支援を頂いて岡崎イベントのフリーペーパーを作ったこともあります。そういう事をやってもいいと思いますが、当面はメンバーを固めることに注力することが大事で、主要なメンバーの方々に来年も再来年も、できれば10年位はお付き合いいただくと同時に、今のメンバーの感性に合うメンバーを増やしていくことが当面の課題だと思います。また、フラットエージェンシーさんの取組で参加されたメンバーの方も多いわけで、その情報を新たに京都には行って来られる若い人に伝えていくことも、会員を増やし交流を図ることと同じくらい大事なことだと思います。是非、ご協力いただきたいと思います。

 

<事務局長挨拶>

今日は、皆さんお忙しい中ありがとうございました。西陣R倶楽部の在り方としては、皆さんの発言で全てかなと思います。また、今回、こうした地図ができましたので、今後、2年3年かけてこれを点でから面に出来るような取り組みを進めていきたいと思います。京都はこんなに面白いところなんだよということを、学生やこの地域に住み始めた人たちに私たちが発信していくことはやってみたいと思っています。本日もご多用な中、第12回の西陣R倶楽部にご参加いただき誠にありがとうございました。こうした活動を今後も継続していきたいと思います。また、皆様の方からも是非、こうした感性をお持ちの方をお誘いいただいて、この場で顔を顔を合わせていただき、緩やかなコミュニティができるような活動をしていきたいと思っていますのでご協力をお願いします。今日は、本当にどうもありがとうございました。


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