scratch 代表 杼森 篤史氏

再生された西陣のろおじで、オリジナルブランド「helm(ヘルム)」の野球グローブ(キャッチャーミット、ファーストミット)の製造販売にチャレンジ。ミットをたたくとパーンと小気味よい音がする。

<グローブとの出会いから起業まで>

三重県に生まれ、大阪の大学に進学する。学生時代に野球用具(グローブ)づくりのアルバイトをしていた。

大学卒業後、ものづくりが好きであった為、アルバイトをしていた会社に入社し、メーカーとの納期やデザインの微調整を担当しながら、グローブづくりに携わる。

その後、グローバルな経験と海外でのものづくりについても興味があったため、工業用ミシンの製造販売メーカーに転職した。アメリカ支社に駐在し、いろんな国を訪れ、主にブラジル担当となり、何度もブラジルを訪問する。

工業用ミシンを通じて、ブラジルのアパレル業界や国について多くを学んだ。

日本を飛び出したことにより、いろんな人との出会いや貴重な経験をたくさん積むことができた。7年近く勤務した後、ご縁があった日本のアパレル機器の総合代理店の会社に移り、日本に帰国後、約5年関東で過ごす。

40歳を迎えたころ、頑張って働ける期間の半分が過ぎようとする頃、この先の人生について自分に何ができるのか考えた時、グローブを最初に買ってもらったあのうれしかった幼い時の記憶が今でも忘れられず、今度は、自分がグローブを作り人に喜んでもらいたいと思った。

グローブづくりをする決意をし、関東の会社を退社後、関西に帰郷する。

 

<scratchの起業>

関西に戻り、奥様の故郷である京都に拠点を置こうと決め、場所を探していたが、グローブづくりをする時に、ミシンの音や革をたたく音など、作業上、音が出るため、なかなか希望の物件が見つからなかった。

古い町屋を改装するなど色々悩んでいた時、京都西陣ろおじを紹介いただき、一目見て、ここでやりたいと直ちに契約した。

起業するにあたり、いろいろな野球用具メーカーと協議をしたり、10年ぶりの職人仕事ができるかどうかということで、メーカーで勉強したり、稼働するまでに半年くらい要した。グローブの作り方について根本は変わらないが、時代とともに、ユーザーの要望が変わり、スタイルが変わっていた。

屋号は、Start from scratch 「ゼロからスタート」からとって、scratch(スクラッチ)とした。

 

<これからのscratch>

scratchは、キャッチャーミットとファーストミットに特化したグローブを作っており、こういう工房は他に無い。数が出るのは野手のグローブだが、キャッチャーミットは1番消耗が激しい。いい音が鳴るとか、手が痛くない、変化球のおさまりが良いなど、より良くボールを捕ることに特化したミットを作っていきたい。

手に取ると、全くボールをつかむことができないくらい固く、手でたたくとパーンといういい音がなる。最近は、湯もみといって、販売店でぬるま湯につけて柔らかくし、型をつけて提供しているサービスもあるが、scratchではヒモ革や革自体を痛めることなく、型付けできる方法を検討中である。

scratchのコンセプトは、来店されたお客様の要望に応じて、基本となる型を指定してもらい、細かい造作や色などを要望に沿わせるカスタムオーダーのミットを作るオリジナルブランドの工房である。基本的にネット販売ではなく、直接来店してもらって、ミットを手にはめてもらい作っていくという業態を考えている。

キャッチャーミット、ファーストミットそれぞれに10種類の型を準備している。それに、バックスタイルと言って手の甲のスタイルが異なるものが数種類あり、組み合わせると、各々、50種類くらいのバリエーションが提供できる。これだけバリエーションをそろえているところは他に無く、お客様に選んでいただくことを大事にというコンセプトを目指している。

scratchのオリジナルブランド名は、helm(ヘルム)。ドイツ語で兜という意味になる。硬式野球の高校生、大学生だけではなく、軟式野球用のミットも作り、小学生や草野球の人たちにも使ってもらいたいと考えている。地元に密着しながら仕事ができればと考えている。たくさんの人達にも使ってもらって、様々な改善意見を聞きたい。

子供から大人までいろいろなタイプのミットがあると分かれば、自分に合うミットを選ぶきっかけになれば良いと思っている。京都は海外の方や様々な人が交わってる都市なので、ここ西陣からメイドインジャパンを広めていきたいと思っている。

当面は、国内でいろいろな人に見てもらうことから始めていきたい。京都の高校、大学で有望選手をサポートして使ってもらえるようにしていければと思う。

 

また、革小物についても作っていきたいと考えている。西陣ろおじに来られた方の

思い出の一つになるようなものが出来ればと思っている。

店名

scratch

名前

杼森 篤史

住所

京都市上京区東西俵屋町144 京都西陣ろおじ

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